監督インタビュー INTERVIEW
カン・ジェギュ監督が語る、「本当に伝えたいこと。」
この映画は、全てを失った人間が再び希望を取り戻す物語です。二人の男の姿を通じて、希望と夢をもらえる映画になると思っています。
- 今の時代に、この作品を作る意義をどう感じていますか?
- この作品は戦争の悲劇を描いている訳ではなくて、人間が希望を探す映画だと思っています。過酷な状況の中、国籍も境遇も異なる人間を理解し、好きになる、そして失っていた夢を取り戻す。私がここで伝えたい希望とは、「人間に対する理解」だったり「夢」だと思っています。それがあればどんな辛い状況でも生きていけると思っています。
- 本作は、一枚の写真がきっかけとなって生まれたものですが、実際にノルマンディーまで行った東洋人はいたのでしょうか?
- ドイツ軍の捕虜となり、中央アジアの人たちで構成された“東方部隊”には韓国人と日本人が多数いました。それはドイツやロシアの資料に記録されています。ですので、関東軍に徴収され、その後ノルマンディーへ入ったとされる韓国人や日本人も多数いたのではないか? と考えました。
- 今回、日韓を描いていますが、現在にも残る日韓問題についての考えは?
- 戦争というのは、誰かが仕掛け、一方で被害を受けた人たちがいる。そして最後は勝者と敗者が残るわけですが、その末路は、誰もが心に傷を負った敗者なのではないでしょうか。
戦争を通じて人間の本質を確認する―、そんな映画にしたいと考えています。
もちろんこの映画も、戦争の加害者と被害者を主人公に物語が出発します。しかし、物語が進むにつれて、それは何も意味がないことだと分かってくると思います。
この映画の中に私の戦争への見解はありません。両国どちらかの見解で描くのではなく、それ以上にもっと成熟した映画にしなければならないと考えているからです。人間を理解し、その良さを発見していく過程を描いた映画なので、誰かを非難することに焦点を当ててはいません。日韓の問題は度々起こりますが、未来では友好関係を結ばなければならないと思っています。